「最低賃金を上げろ!」というおかしな発言

 以前、電車に乗っていたとき、ある広告が目に入った。それは「非正規で働いている若者の賃金を上げて、彼らを救おう!」と主張する団体の広告。一見すると、弱きものを救おうとしている善良な広告で、「どこがおかしいんだ!」と怒る人がいるかもしれない。しかし、この主張はちょっと考えてみるとおかしいことに気づくはずだ。


 企業側(雇用主あるいは経営者)からしてみれば、長引く日本の不況で人件費を含めたコストカットに日々いそしみ、なんとか利益を出さなければならない。そんな中で「非正規の最低賃金を上げろ!」と言われて、すぐさま首を縦に振る企業はまずいない。そんなことしたら、会社の経営は一気に傾いて、最後は倒産だ。

 日本では、解雇規制によって正社員を雇うこと自体大きなコスト・リスクがかかる(簡単にクビにできない)ので、非正規を雇って正社員のコスト・リスクをなるべく減らしているのだ。正社員のコスト・リスクを減らしたことによるツケを払っているのは非正規雇用の人たちだ。

 そもそも企業という存在自体、何十年と生き残れるほどの組織ではない。ということは、企業が労働者に提供する福利厚生や社会保障を受けられるかどうかすら危うい(日航のような大企業すら潰れる時代なら、なおさらだ)。

 こうした事情が起こる原因については、城繁幸さんがよく語っている。以下はたまたま彼のブログに載っていた自身の発言。

日本は終身雇用という形で民間企業に社会保障を丸投げしているため、それに値するとみなされる優秀者以外はその枠の中に入れない。これが日本の格差問題の本質だ。
最低賃金上げろとか、有期雇用を規制しろとかいうのは、枠の中に入れない人間をより追いつめる結果にしかならない。

だから、本気で何とかしたいと思うなら、社会保障機能を企業から切り離して税金で再構築する以外にない。


 企業が最低賃金を上げないことが問題なのではなく、正社員の椅子を陣取って、非正規からの恩恵を受けとっている既得権者がいることが問題なのだ。既得権者が自分の持つ既得権を少しでも手放し、それを市場経済(社会)で役立てるように回せば、格差問題が改善できる可能性があるのだ。

 とはいえ、既得権者を椅子から引きずり落としただけでは「誰が先に座れるか」という過酷な椅子取りゲームが繰り返されるだけに過ぎない。解決策はいろいろあると思うが、ベーシックインカムが一番手っ取り早いのではないか。


 橘玲さんも、城繁幸さんも、ホリエモンも語っているが、現在の日本の社会情勢を良くするためには、現在の日本には適応できない社会構造(年功序列や終身雇用)を辞めることから始まる。


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『フリーターズフリー(Vol.1) よわいのはどっちだ。』

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フリーターズフリー

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 フリーターなどの非正規雇用で働く人や、ひきこもりやニートで悩んでいる人々が集って執筆・編纂した雑誌。キャッチコピーは「働けとは言わないワーキングマガジン」。

 雑誌といっても、A5よりも少し小さめで、見た目は文芸雑誌に近いです。(本誌の編者である大澤信亮さんよると、本誌は「労働運動の機関誌というよりは、どちらかというと文芸誌を意識している」とのこと)

 日本のバブル崩壊後の長引く不況で、非正規雇用者が増大。その弊害が彼らにしわ寄せされてしまい、正規雇用と非正規雇用の差による格差はいっこうによくなりません。

 本誌は「そんな生きにくい日本社会でも、非正規用者が集って新しい価値観を生み出し、その閉塞感に一矢報いよう」とするのが狙い。

 城繁幸さんが書いた『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか』にて、昭和的価値観を脱した生き方の1つとして、紹介されています(城さん自身も「働く理由」という記事を執筆し、掲載しています)。

 記事の内容は様々。城繁幸さんや雨宮処凛さん(『生きさせろ!難民化する若者たち』の著者)のように、現代の日本社会にある悲惨な現場を訴える記事。「首都圏青年ユニオン」や「ビッグイシュー」など、経済的・社会的に弱い立場である人々の支援を行っている方々へのインタビュー記録。女性に対する労働問題を取り扱った記事など。「なにが問題で、どのように解決すべきか」などの理論的な難しい記事もあるのですが、ほとんどは読みやすく分かりやすい内容のものが多いです。

 『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか』で紹介されていたのを機に、どんな雑誌なのか気になって、買って読んでみました。2cmちょいの厚さがあり、文の量もけっこう多かったので、読み終わるのに時間がかかりましたが、とても素晴らしい雑誌でした。文の内容と自分のこと(人生や気持ちなど)に重なるところが多かったので、とても親近感があり、読んでいて納得できる内容でした。

 タイトルからして、世の人からすると敬遠されてしまいそうですが、ぜひ手に取ってもらいたい本。決して他人事ではない!


フリーターズフリー 公式サイト


『デス・レース2』 ※ネタばれ注意

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ルーク・ゴス、ヴィング・レイムス 他

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前回紹介した『デス・レース』の続編。
(メディアはブルーレイ)

前作がかなり人気あった作品だっただけに、今作の評価は見る人によって賛否両論です。
(ちなみに、ハリウッドの映画業界では「人気作品の続編は売れない」というジンクスがかつてありました)

ストーリーの内容は、デス・レースの起源とレースのチャンピオンとなるフランケンシュタインの誕生について絵描かれています。
前作のストーリーへと続く展開なので、盛り上がりは前作よりも少々劣ります。

見終えた感想ですが、前作ほどではなかったもののそれなりに面白かった。
デス・レースの起源ということで、レースのハチャメチャ感は前作より薄め。
ってか、肝心のレースが映画の後半からようやく始まるので、観ていて「レースまだか」と心待ちにしていました。

主人公の容姿がなぜか前作のと同じ、坊主頭のムッキー。
ただ、今作のルス・ゴースさんよりも、前作のジェイソン・ステイサムさんの方が断然カッコいい。


総評としては、前作を見て気に入ったなら、今作もオススメです。
(ただ、前作ほどの面白さではないけど…)

個人的に続編の3を作ってほしい。
ストーリーは1より後の展開で!



私の周りでのホリエモン

 私はホリエモンこと堀江貴文さんについて、それほど悪い人だと感じていない。

 ホリエモンの考え方は、聴いていて「なるほど!」と思えることも多いし、共感できるところも多い。特にベーシックインカムに対する彼の考え方はとてもユニークだ。以前彼の本を1冊紹介したが、(とりあえずその本に限っては)特に悪いは思わなかった。(無論、彼の考え方に100%同意・心酔しているわけではない)

 私の周りの友人にホリエモンのことについて聞いてみたが、なんだかすこぶる評判が悪い。無理もないと思う。ライブドア事件を起こした経歴から、犯罪者としてのレッテルが張られているからだろう。それ以前に、皆「ホリエモンは金の亡者だ」というイメージが強い。落ちぶれたIT長者の1人ということもあり、あんまり見向きもしないのかもしれない。

 最近は経営者という仕事から手を引いて幾年か経ったこともあってか(?)、彼の性格もブレイク地に比べてだいぶ丸くなってきたように感じる。収監されるまでやってきた彼の仕事も、経営・実業よりもエンターテイメントの方が中心になった。(収監時にはモヒカン頭で報道記者の前で登場して見せた)

 ただ、私はホリエモンが出所後に「現代の日本を元気にできるヒーローになれるのではないか」という、小さいな期待がある。なぜ私がそのような期待を持てるのか、説明するのは難しいが、出所後の彼の活躍にはぜひ期待したい。(無論、世間の目はよろしくないが…)

 城繁幸さんが以前自身のブログでアップされたメルマガのお知らせで書いた文章の一部に以下のものがある。

ホリエモンの収監イベントには、暗さも悲壮感も微塵も感じられなかった。
まるで現代の「ええじゃないか」である。
その理由を考えると、日本の現状と今後の展望がうっすらと見えてくる。
2年半後、日本はさらなる停滞と閉塞感に包まれているだろうが、その時
彼は圧倒的なカリスマとなっているに違いない。
これも一つのキャリアデザインだ。


 橘玲さん、城繁幸さん、ホリエモン。個人的にこの3人が日本の社会情勢を立て直そうと議論・画策したら、最強の答えが出そうな気がする。


『大震災の後で人生について語るということ』

大震災の後で人生について語るということ大震災の後で人生について語るということ
(2011/07/30)
橘 玲

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 つい最近(2011年7月)出版された経済作家の橘玲さんの人生の指南書です。

 東日本大震災(以下:3.11)が起きたことを機に、橘さんが現在の日本にどんよりした閉塞感があることと従来の「神話」が崩壊したことを説き、日本人の震災後の生き方について述べている人生指南書です。

 幅広い読者層に読んでもらえるように考慮してか、これまで出版されてきた橘さんの本と比べると、分かりやすい(一般受けしやすい)内容となっています。ちなみに文体はです・ます調。

 本の内容は、最初にこれまで日本人が信じてきた4つの「神話」である、
  「不動産神話(持ち家は資産より得だ)」
  「会社神話(大きな会社に就職して定年まで勤める)」
  「円神話(日本人なら円資産を保有するのが安心だ)」
  「国家神話(定年後は年金で暮らせばいい)」
 に対して、橘さんがこれまで解説してきたことを用いて、神話がどうして崩壊したのかを説明しています。

 神話が崩壊したことで訪れた「神話なき時代」で生きるにはどうすればよいか。その時代を生きる生き方として、橘さんが考えた「ポスト3.11の人生設計」が具体的に詳しく書かれています。

 橘さんがこれまで解説してきたことを用いているので、これまで彼の本を読んできた人にとっては被るところも多いです。

 読み終えた感想としては、本書も大変素晴らしい本でした。個人的には『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』と同じくらい好きな本です。

 『知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語』では彼の考え方が凝縮されているような本でしたが、本書では彼がこれまで述べてきた理論が凝縮されているような1冊となっています。

 オススメです。皆さんもぜひ読んでみてください。


橘玲 公式サイト