『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い』

「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い   禁じられた数字〈下〉 (光文社新書)「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 禁じられた数字〈下〉 (光文社新書)
(2008/02/15)
山田 真哉

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 前回紹介した山田真哉さんの著書『食い逃げされてもバイトは雇うな』の下巻。副題は「禁じられた数字〈下〉」。

 上巻同様、身の回りにある数字から、物事の本質や理解を深めることについて書かれていますが、上巻とは違い、本書では思わず「ええっ、うそ!?」と言いたくなるほどの驚愕の事実が書かれています。というのも、本書の副題にもなっている「禁じられた数字」。この禁じられた数字とは、「事実だけれど、正しくない数字」という意味。これは誰でも使おうと思えば使えるが、人の判断を惑わし、人をだます武器になるほどの影響力がある恐ろしいもの。

 具体的にどんなものがあるのか、本書の例をいくつか紹介します。

 「1億円が12本出たという宝くじ売場で、宝くじを買えば当たる!」という話がある場合、そこで宝くじを買った方が当たる確率は高いのか? 答えは否。宝くじ自体、当たるかどうかは完璧に運なので、基本的にどこで買っても当たる確率は大差がありません。「1億円が12本出た」という数字(話)に惹かれて、宝くじ売場に長蛇の列ができてしまうのです(それ以外の要因も考えられますが)。

 「Amazonの書籍ランキングで堂々1位の大ベストセラー」という広告付きの本があった場合、その本は本当に人気が高い本であるのか? 答えは否。書籍に限らず、何かしらのランキングには、ランキングの操作がなされている場合があります。「1位」という数字に皆惹かれて、その本がそれだけ人気があるものだと錯覚してしまうのです。


 上巻では、数字を見て物事の本質や理解がどうなのかを解明していきましたが、本書では数字以外の(数値化されていない)要素も見極めて物事の本質や理解を深めていきます。特に経営の分野では、この数字以外の要素がとても大事になってきます。

タイトルにもある『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い』というのは、食い逃げされたラーメン屋について経営の視点から考えた場合、お店の信用や安全性など数値化できない要素を考慮したら、バイトを雇う方が経営手段としては合理的ということ。


 読み終えた感想ですが、上巻に引き続き、大変素晴らしく面白い内容でした。上巻を読んで好感を持たれた方に、ぜひオススメ。現在なら、ブックオフで105円で安く買えます。



公認会計士 山田真哉工房


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『食い逃げされてもバイトは雇うな』

食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉 (光文社新書)食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉 (光文社新書)
(2007/04/17)
山田 真哉

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 ベストセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(以下:さおだけ)の著者である公認会計士の山田真哉さんが書いた本です。副題は「禁じられた数字〈上〉」。本書は上巻であり、下巻である『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大違い』とのセットで、内容がキッチリまとめられています。

 本書では身近な物事を通して、身の回りにある数字から、物事の本質や理解を深めることについて書かれています。そのことを本書では「数字のチカラ」と呼んでいます。『さおだけ』でも「数字のセンス」という名目で数字に対する見方について書かれていました。

 タイトルにもなっている「食い逃げされてもバイトを雇うな」とは、飲食店(本書ではラーメン屋)でちょっとばかし食い逃げ事件が起きても、防犯対策でバイトを雇わない方が、数字のチカラから考えたら得をするというもの。

 ではその数字のチカラとは、どのような内容なのか。まず、数字には以下のような基本的なルールがあると4つのルールがある、と山田さんは言います。

  1.順序がある
  2.単位で意味を固定する
  3.価値を表現できる
  4.変化しない


 たとえば、1には「Web2.0」のように、2という数字から「1があったんだ!」と思わせてしまう順序表示のルール。3には「この絵には10億円の価値がある!」というように、物事の価値(順位、大小、高低など)を表すことができるルール。

 上記の4つのルールから数字を利用して、他者の信用を得ることができたり(「地域実績No.1」の宣伝文句)、物事の結果を判別して一喜一憂することができます(株価の変動など)。

 逆に数字によるドライな側面によるネガティブな要素も(「ノルマ50件以下はクビ!」など)あり、人に恐怖を与えたりします。山田さんはこれを「数字の暴力性」と呼んでいます。

 他の事例としては、「6時53分待ち合わせ、中途半端な数字にしたのはなぜか?」「タウリン1000ミリグラム、実は1グラム!」など、一瞬「あれ!?」と思わせるような数字の表現が紹介・解説されています。これらの数字の見方や意味を理解することで、ビジネスや経済などに応用できる実用的な要素が満載です。


 読み終えた感想ですが、大変素晴らしく面白い内容でした。身近な話題を取り上げて、身の回りにある数字を分かりやすく解説する山田さんの才能が見事! 解説には「これはそういうことだったんだ!」と納得・理解できるものが多くて、分からないところ・理解できないところは1つもありませんでした。前作の『さおだけ』よりも読みやすさがアップしています。

 『さおだけ』同様、オススメの1冊。本書もかり売れたのか、現在は高確率でブックオフにて105円で買えます(私は105円になってから買いました)。皆さんもぜひ手に取ってみてください。



公認会計士 山田真哉工房


働いてから1ヶ月目

 昨日の27日の金曜日で、今月の労働は終わりました。今日(28日)からは連休で、しばらく休みです。今月の2日に新入社員として働き始めてから、はや一月が経ちました。今回は働き始めた感想について、さらっと書いていきます。


 最初の感想として、朝から晩まで働くことの「束縛」と会社組織での「人間関係」が正直キツい…。

 朝から晩までの束縛は、なかなか難しい。学校の授業での束縛ですら、厳しかった自分にはなおさらです。現在はまだ研修期間なので、これといった仕事はまだ任されませんが、時間を効率的に活用して仕事で来ているかというと、まだまだ未熟です。

 それと人間関係。人と話すのが苦手な自分には、心臓バクバクするほどの厳しさ。私が勤めている会社では、日本の典型的な労働慣習(残業や複雑な上下関係など)がある会社なので、「これはこれ、あれはあれ」とドライで割り切って物事を進めていきたい自分には窮屈。社長に呼ばれて参加した飲み会では「お前、本当にKYだな!」とまで言われる始末。ただ、誰かと喧嘩したとかの物騒な関係は今のところなく、職場の人たちとそれなりに和気あいあいと仕事できたりするので、最近は慣れてきたところも出てきました。

 なんだかんだで苦戦しているところはありますが、読書やネットを通して自分の思考を停止させず、より良い人生を築くために進んでいきたいと思います。


 それと感想として、もう一つ。年長者のたわごとによくある「社会に出たら○○」という社会の厳しさは、今のところ、つらく感じていません。あったとしても、難なく対処しきれています。橘玲さんやホリエモンこと堀江貴文さん、山崎元さん、城繁幸さんの本などを通してあらかじめ知っていたので、社会の厳しさに遭遇した際には「ふ~ん…」とか「へえ、そうですかい…」といった感じで、右から左へ軽く受け流しています。

 あまりに対処しきれない場合は、橘玲さんやホリエモンの本を読み、自分自身の考え方・人生の在り方を見直すことで、元気づけてもらっています。こうなると、橘玲さんやホリエモンは私にとって、ある意味「命の恩人」でもあります(笑)。


 まだまだ労働人生の先は長いですが、自分自身の自由を掴むために突き進んでいきたいと思います。


『イントゥ・ザ・ワイルド』

イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]
(2009/02/27)
エミール・ハーシュ、マーシャ・ゲイ・ハーデン 他

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 原作はノンフィクション小説の『荒野へ』で、ジャンルはヒューマンドラマ。

 1992年、アラスカの荒野で24歳という若さで亡くなったクリストファー・マッカンドレスさん(以下:クリス)の旅路を描いたヒューマンドラマ。物語は彼が大学を卒業して旅に出てから、アラスカの荒野で亡くなるまでの軌跡を描いたものになっています。

 あらすじは以下の通り。

裕福な家庭に生まれ、物質的に恵まれた環境で育ったクリスは大学を優秀な成績で卒業する。両親はハーバードのロースクールに進学することを望んだが、金で物ばかりを与える親に嫌気が差したクリスは学資預金を寄付し、身分証を切捨て、この世界の真理を求めアラスカへと旅に出る。旅路の中で様々な人と触れ合い、本当の幸せとは何かを知る。
Wikipedia>より引用


 物語の進行は、クリスがアラスカの荒野での生活や心境を写しつつ、ところどころで彼が大学卒業してからアラスカに着くまでの旅の回想が流れるというもの。そのためストーリーの順序はバラバラですが、アラスカ生活(現在)と過去の回想の2つの時間軸が並行して、展開していきます。

 クリスの旅路には、さまざまな体験や人々との出会いがありました。体験の出会いは、農業体験、激流下り、恋、大都市での虚無感など。人々との出会いは車で放浪中のヒッピー夫婦、ジャイアンみたいなガタイの良い農家、メキシコを目指して南下する若者カップル、ヒッピーの集落に住む少女、家族に先立たれた1人暮らしの老人など。

 彼は最終的にアラスカに到着して、たまたま発見した廃バスをねぐらに生活を始めます。しかし、日が経ていくことに食糧確保の困難や、孤独に対する不安から、アラスカでの生活に支障をきたしてしまいます。いろいろ考えを見つめ直して、故郷へ帰ろうとするも、川が増水したせいで帰ることができなくなり、ますます生活が苦しくなります。最後は誤って食べてしまった有毒の植物により、体調を壊し、バスの中でひっそりと亡くなってしまいます。


 この映画を知ったのは、私が大学2年生の時。当時受けていたある授業の先生から「自由」という概念について学んだ際に、考える材料として教えてくれたことがきっかけでした。とはいえ、その時からもう2年以上経ってしまいましたが…。

 クリスは裕福な家庭に生まれ、物質的に恵まれた環境で育ちましたが、そうした生活・世の中の在り方に疑問を持っていました。そこで彼は、今ある文明社会・物質社会を否定する旅に出ることに。彼はアラスカの荒野にあこがれ、そこで誰にもとらわれない「究極の自由」を目指しましたが、彼の思惑とは裏腹に、「アラスカの自然」と「究極の自由」の負の側面に悩み、最後は「死」を迎えることとなりました。


 彼が亡くなってから、現在で20年ほど経ちましたが、(映画というメディア上、多少の誇張があるとしても)彼のことを思うと無念の気持ちがあふれてきて悲しくなります。彼にはもっと生きていてほしかった。彼がアラスカから無事帰ってきて、「自由」という誰もが求めてやまない概念に何かしらの答えや理論を展開できたら、どれだけ素晴らしかっただろう。

 自分が言うのもおこがましくはありますが、クリスには文明社会をそれほど批判せずに、それをもう少し利用して、生活してほしかった。「Bライフ」を実践している高村友也さんのように、「自分の自由は最大限に享受しつつ、これまで人類が築いてきた文明の利器もつかわせていただく」ぐらいな感じで生活していたら、「アラスカの自然」と「究極の自由」の負の側面を回避できたかもしれない。


 総評としては、素晴らしい映画でした。「自由」の在り方について考えるための材料として、とても良いと思います。自由な生活を目指す人(望む人)なら、ぜひ見てもらいたい作品。


映画『イントゥ・ザ・ワイルド』公式サイト


『アダム・スミス』

アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書)アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書)
(2008/03)
堂目 卓生

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 1700年代のイギリスの経済学者かつ哲学者であるアダム・スミスの解説本。副題は「『道徳感情論』と『国富論』の世界」。著者は堂目卓生(どうめ たくお)さん。慶應義塾大学経済学部を卒業され、現在大阪大学大学院経済学研究科にて教授をなさっている方です。

 アダム・スミスというと、「個人の自由な利益追求が、社会・経済の利益につながる」という「見えざる手」の考え方で有名です。本書ではそうした彼の考え方について、彼の著書である『道徳感情論』と『国富論』の2冊を参照・引用にしながら、彼の考え方について堂目さんなりに正しい見解・解説を述べています。

 本書の内容の構成は、初めにアダム・スミスが生きた18世紀のイギリスの社会情勢の解説。その次に『道徳感情論』と『国富論』をそれぞれ解説。最後に「スミスの遺産」として、彼が残した理論や考え方を総合的に考察し、歴史的にどのような影響を与えたのかについて述べています。


 上記の2冊の内容について、私なりにサラリと書いていきます。

 まず、『道徳感情論』。

 アダム・スミスは、人間は感情(同感など)があり、それを準拠にして行為を起こすといいます。この感情と行為によって引き起こされる何かしらの活動が、社会にとってより良い秩序と繁栄が導かれるといいます。社会的秩序は人々の共感から生まれ、人々の感情自身が不道徳とされる行為を律し、最終的に秩序ある社会が実現できるといいます。野心的な自由を認めたものではないといいます。

 また、各個人が自己の欲求を満たすために利益追求を目指し、そこから生まれる経済活動が結果的に社会全体に効率よく富の分配がなされる仕組みが、有名な「見えざる手」です。『国富論』にも「見えざる手」が出てきますが、意味は異なります(詳しくは後ほど)。


 続いて、『国富論』。

 前著の『道徳感情論』に比べると、マクロレベルでの経済に関する記述が多くなっています。社会の繁栄を促進させる2つの概念「分業」「資本蓄積」が書かれており、重商主義の批判、当時のイギリスの社会情勢に対するスミスなりの解決策についても書かれています。

 ここでも「見えざる手」が出てきますが、先ほどの『道徳感情論』と違う意味になっています。ここでの「見えざる手」は、市場の価格調整メカニズムを意味し、「個人の利己心は、市場の価格調整メカニズムを通じて、公共の利益を促進する」として、市場は人々に効率よくリーズナブルな財やサービスを提供でき、一部の者が不当に独占できる仕組みではないことを解説しています。


 読み終えた感想ですが、正直難しかった…。解説自体は分かりやすいのですが、内容の量が多く、読んでいてなかなか頭の中で上手く整理できませんでした。ふせんや鉛筆を使って、要所要所で重要な所に印をつけながら読んだ方が良いと思いました。

 あくまで解説書なので、アダム・スミスの考え方を真に深めるには、原書(翻訳書)を読んだ方が良いのですが、いきなり読むよりかはだいぶ分かるようになると思います。

 実用書というより専門書に近いです。経済学の参考書としてオススメ。