相手に返事をすることの大切さ

 私は数日前に、とある企業のキャッチセールスまがいの悪徳商法のターゲットとして狙われた。半ば軟禁状態のようなピリピリした室内の環境にて、企業側のスタッフの強引な歓誘文句と冷徹な態度により、その場から逃げだすことができなかった。

 一度は「あなたにそんなこと言われる筋合いはありません!」と怒りの声を挙げて、その場を退出しようとするも、「あなたはそうやって自分の人生から逃げる気ですか?」と反論する相手の巧みな話術にハマり、その場から自発的に抜け出すこともできなかった。

 私は泣くほど辛い思いをしたものの、この辛い現状を救ってくれたのは、私の家族(両親)だった。

 私が軟禁状態のように拘束されている間、父が私の携帯電話に何度連絡しても出ないことを不審に思い、私と何とか連絡を取ることができた際に、事の状況を把握することができたのだ。

 私の母は、私を困らせている企業の不条理な応対を知って激怒し、電話越しで企業側のスタッフに猛烈なクレームを浴びせた。企業側スタッフも「さすがにやばい」と思ったのか、私を解放した。そのおかげで私はようやく自由の身になれた。企業側のスタッフは謝罪も平謝りで、詫びの気持ちとして粗品の一つも出さない所だった。その企業の倒産はそう遠くないだろう。帰りは、あまりの辛さに自動販売機の隅で顔をうずめて、ひっそりと泣いた。


 この経験は、本当に泣くほど辛い経験をしたものの、学ぶべきことも多かった。特に一番学んだのは、相手に常日頃から返事することがいかに大切かということ

 私は普段、誰かしらの連絡(メールや電話etc)はなるべく返すように努めている。もちろん、家族に対してもだし、遅れたとしても忘れないように返事は出す。なるべく返事を怠らないのは、連絡の内容が自分にとって大事なものなのか相手に確認すること、返事をすることで相手に「連絡は届いたよ」というお知らせの意味を含んでいることの2つからだ。

 この返事の習慣のおかげで、私は家族に異変を気づいてもらって、助けてもらうこともできた。自分が何気なく努めていることが、こんなところで活かせたというのは夢にも思わなかった。


 返事をすることも、コミュニケーションの一環として、とても大事なことであることを、以前の就職希望先の企業の研修兼最終選考にてタップダンスの先生から学んだことを思い出す。

 先生曰く、タップダンスの起源は大航海時代に船で輸送される黒人奴隷たちが、自分たちの体を使って音を出すことによる意志疎通を図った考案したのが始まりだとされる。

 交易中、奴隷商人たちは黒人奴隷たちが暴動を起こさないようにと、彼らが会話することを全面的に禁止した。そこで黒人たちは、壁をドンドンとたたいたり、床をダンダンと足踏みしたりすることで、互いの生存を確認しあったという。

 こちらがドンドンとたたいて、向こうもドンドンと帰ってくれば、相手は元気な証拠。数日後にドンドンとたたいて、向こうがトントンと弱い音で帰ってきたら、「病気か怪我で体が弱っているのかな…」と。また数日後にドンドンとたたいて、何も返事がなかったら、「死んで海に捨てられたのかな…」と。かなりゾッとする話ではあるが。

 当時の黒人奴隷たちは、お互いのコミュニケーション(意志疎通)を図るために、互いに返事をしてきた。では、現代人はどうだろう?


 辛い経験をした当事者である私が言うのも、おこがましくはあるが、自分の周りをふと見回してみると、あまり返事をしない人がけっこういる。携帯電話やインターネットで誰でも気軽に連絡が取れる世の中になっているにもかかわらず、だ。

 返事をしない人に、直接そのことを聴いてみると「俺は忙しくて、そんな暇はないんだ!」といった無愛想な返事が返って来る。「たかが、親指一つでYESかNOを返事できるこの時代に、何をそんなに忙しくしているんだ?」と感じてしまう。私の大学の先生は「忙しい忙しいと愚痴を言う人間ほど、大して忙しくない」と仰る(私もこの言葉に銘じて、「忙しい」という言葉を使うのを拒否している)。そうした人を食事に誘ったことがあるが、最悪だった。まともな返事をしないどころか「俺は参加したくなかったのに、こいつが偉そうに命令しやがった」と、他人のせいにまでする始末。それ以後、その人との関係はキレイすっぱり断っている。こうした人は社会的信用が低いだろうから、仕事も責任持ってやらないだろう。

 逆に返事をする人はどうか? こうした人は会話していて実に楽しい。普段から返事が来るから、何か話したい時・聴きたいことがある時には、いろいろな話が舞い込んでくる。私の友人の1人は、何かしらの会話でよく返事をする傍ら、Twitterをやっている。彼の更新は1日に何度も行われているから、見ていて飽きることがない。相手への返事をよくする人は、何気にTwitterなどネット上でのコミュニケーション・やりとりも頻繁に行う傾向があるように感じる。そうした人のネット上の活躍は見ていて面白いし、「自分も何かやってみたい!」と思わせるポジティブなオーラが出ている。


 必ずしも「返事をする人=何でもポジティブで良い人」というわけではないが、コミュニケーションの一環として、見過ごせない話題だと考える。私はそれを、身を持って体験した。ならば、この経験をバネに今後の生活をより良くしていきたい。


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