『たそがれ清兵衛』

たそがれ清兵衛 (新潮文庫)たそがれ清兵衛 (新潮文庫)
(2006/07/15)
藤沢 周平

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 今回は実用書ではなく、小説の紹介。私の父が最近藤沢周平さんの作品にハマっていて、私も気になって1冊借りて読んでみました。その1冊が本書です。

 時代劇作家だった藤沢周平さんの短編小説。2002年に映画化され、主人公を真田広之さんが演じて、話題となりました。短編小説ということで、今作のページ数は、37ページと短め。

 あらすじは以下の通り。

 下城の時刻になると、いそいそと帰宅する下級武士がいる。人呼んで「たそがれ清兵衛」。城勤めをしながらも、病気持ちの妻のために、看病と家事をこなす毎日を過ごしていた。

 しかし、彼が所属する藩では現在領内を二分する派閥抗争が起きている。地元の富商とつるみ、藩政の専横を極める筆頭家老堀将監。堀に反発する勢力から、堀を誅殺する任が清兵衛に下される。

 清兵衛は意外にも剣の名手だが、誅殺相手の堀も相当腕が立つ男。「藩の大事」という名目のもと、腕を買われ、誅殺を任されることになった清兵衛。はたして、清兵衛は見事に任を成し遂げることができるのか!?


 本書では『たそがれ清兵衛』以外に、やたら物忘れが激しい中年武士の活躍を描いた『ど忘れ万六』や、滅多に口を開かない男の断罪の物語の『だんまり弥助』など、8つの短編小説が収録されています。

 ストーリーの構成や展開は、強烈な個性を持ちながらも剣の腕が立つ下級武士の主人公が、財政難から生じた権力抗争や家の名誉に関する嫌がらせに巻き込まれ、それを己の命をかけた決闘でけりをつけるというもの。

 『水戸黄門』や『必殺仕事人』ほどの派手さはありませんが、勧善懲悪の要素が若干入っているので、決闘でけりがつく場面は読んでいて、ちょっと痛快! かなりの腕前なのにそれを誇示せず、普段の日常生活にさりげなく溶け込んで生活している主人公の姿は、ハードボイルドな渋い魅力を感じました。

 ただ、構成や展開が8作品とも似通っているので、ある程度読んでいるとちょっとマンネリ感が出てきました。とはいえ面白いので、途中でやめることなく読み終わりました。


 読み終えた感想は、とても面白い作品でした。ハードボイルドな渋い魅力を持つ主人公の活躍もさることながら、下級武士の生活から見える江戸時代の下級武士の生活像も細かく表現されています。

 時代劇(特に渋い作品)が好きな方にオススメ。『たそがれ清兵衛』は映画化もされたので、機会があれば映画も観てみようと思います。


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