郊外に住む際の注意(1)

 経済ジャーナリストの森永卓郎さんはご自身の著書の中で、田舎や郊外に住むことをよく勧めています。特に郊外は「都心から距離が少し遠いけど、自然が豊かで、物価が安い。車で動けば、大型専門店も多い」との理由で、よく紹介されています。私も幼稚園の年長と小学校の6年間(実質6年半)は、埼玉県に住んでいたので、森永さんの郊外に対する主張にはしっくり来る所もあります。
 しかし、郊外は近年、高齢化や地域の交通事情の衰退などの様々な問題が出てきています。こうした問題もいくつか踏まえながら、私なりに郊外に住む際の注意点を説明していきます。まずは問題点から。

1.通勤・通学時間が長い

 郊外に住むとなると、この問題をまず思い浮かべる方も多いと思います。
 確かに郊外というと地域によっては電車に1時間前後、あるいはそれ以上乗らなければ、都心につかない路線や地域も多いです。電車のみならず、バスも利用するとなると更に大変です。
 バスは電車と比べて、本数がより少ないことが多いですし、最終便が終わるのも電車より早いです。あまりに遅いと、バスに乗り損ねて、タクシーでないと帰れないということもありうるでしょう。
 森永さんも通勤時間の長さについて触れています。電車を「動く書斎」として考えて、電車内で本や新聞を読んだり、寝たりして活用することを勧めています。しかし、森永さんの住む所沢から考えて、もし彼の利用駅が所沢駅なら、時刻表を見て出勤すれば、運よく所沢駅始発の電車に乗って座れるでしょう。同じ西武線でも始発電車のない入間市駅やひばりが丘駅から通うとなると、座れず満員電車に揺られる確率は高いです。
 また郊外へ通じるどの路線も終着駅近くに通勤先があるならまだしも(西武池袋線や東武東上線なら池袋駅)、「地下鉄に乗り換えて更に先へ」に先となると余計時間がかかります。帰宅の際も座れず、満員電車に揺られることになります。
 私の父は自宅から1時間40分ほどかけて通勤していましたが、6年半でギブアップしました。「朝は早いし、乗り換えも大変」ということからさすがに辛かったとのことです。

2.郊外の経済的衰退

 郊外では少子高齢化の関係もあって、バス路線が減ったりしています。バスでないと通えない程の遠い地域では、不動産的価値も下がったりして大変です。
 郊外ではホームセンターやショッピングモールなどの大型専門店もあったりしますが、ほとんどは車でないと行けないくらい離れた場所にあったりします(徒歩か自転車で行ける地域に住んでいる人は幸いですが)。こうした大型専門店はあると便利ですが、郊外にこうした専門店自体、都心に比べて数は少ないので、1店舗でも閉店するとかなり不便です。
 現に私の住んでいた埼玉県のある郊外の街では入居当時(1993年)から転居後のしばらく経った現在(2010年)の間に、駅前のショッピングセンターが閉店(映画館もありました)、ダイソーが3店舗から1店舗へ、駅近くのマクドナルドやヤマダ電機が閉店、また駅前の大型スーパーも店内の営業規模が縮小、駅近くのブックオフが閉店など、不便な点が増えています。もちろんこうした問題がすべての郊外で起きているわけではありませんが、郊外によってはこうした問題が起きている所もあります。
 また車での移動は高齢化してくると、車の運転が困難になって来て、こうした商店へ通うこと自体難しくなります。

3.精神的な問題

 私は趣味の写真撮影で、様々な郊外の地域へ足を運んだことがあります。多摩ニュータウンや港北ニュータウン、たまプラーザ周辺、新横浜駅周辺など様々です。俗に言うベッドタウンです。こうした地域に来ると、一見緑豊かな綺麗な住宅地に感じますが、しばらくするとだんだん変な感覚を覚えてきます。足を運んだ当時は、この感覚の理由がわからなかったのですが、現在はいろいろ調べてみて気付きました。
 こうした街は区画整理の際、しっかりと計算されて造られた分、無機質で人間的な温かみを感じません。昔から栄えている地域と比べて、変に曲がりくねった雑草生い茂る怪しい道や新旧の世代が混ざり合う家々や長く営業している地元の個人商店などがありません。ほとんど似たような世代の人々が住み、地域には特に目ぼしい商店もありません(よくてコンビニくらいです)。
 私の場合、新築のマンション暮らしでしたが、周辺は昔から栄えている地域だったので、大きな農家や畑、長年営業している地元のパン屋さんや床屋さん、マンガを安く買える古本屋さん、古いお寺や神社や公園がありました。現在となっては良い思い出です。子供の頃にこうしたお店や場所に触れずに育ってしまうのは、幾分寂しい感じもします。


 以上郊外の問題について3点述べさせていただきました。もちろんこうした問題はすべての郊外で起きているわけではありません。しかし、こうした問題を踏まえて郊外に住むことをよく検討していただきたいと思います。次号では、郊外に住む際の注意点(オススメ)について、まとめたいと思います。


<参考図書>
「家族」と「幸福」の戦後史 (講談社現代新書)「家族」と「幸福」の戦後史 (講談社現代新書)
(1999/12/20)
三浦 展

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