『ナリワイをつくる』

ナリワイをつくる:人生を盗まれない働き方ナリワイをつくる:人生を盗まれない働き方
(2012/07/02)
伊藤 洋志

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 ニートであるphaさんのブログサイトにて紹介された本。副題は「人生を盗まれない働き方」。紹介された記事を読んでいて、興味が湧いたので、さっそく買って読んでみました。


 著者である伊藤洋志さんは「ナリワイ」を実践し、それで収入を得て、生活している方。「ナリワイ」とは「個人レベルではじめられて、自分の時間と健康をマネーと交換するのではなく、やればやるほど頭と体が鍛えられ、技が身につく仕事」といいます。本業として1つの職業に従事するのではなく、個人単位で活動できて、複数の活動を行って生計を立てるのが、世間一般の仕事との違いです。

 また、仕事といっても心身に支障が出たり、プライベートを楽しめないほどの時間が要するものではなく、あくまで個人単位で活動できるほどの小規模でこじんまりとした活動です。専業の仕事とは違い、お客さん(参加者・ゲスト)だけでなく、自身も楽しく参加できるところも「ナリワイ」の魅力。

 ナリワイとは、生活の充実から仕事を生み出す手法である。作戦としては、守りを固めてから攻めるのが、基本である。
 どういうことかというと、何よりもまず、支出をコントロールし、無駄な支出を減らす。支出を減らすことで、むしろ生活が豊かになるような工夫を考えて減らす。さらに、もしものときには月3万円程度の収入でも暮らしていけるような生活場所を見つけて、非常時にはそこに動ける態勢を用意しておく。つまらん支出を見つけてはカットするという生活をしていると、世の中にある大規模な事業に対して矛盾を見つける感覚が磨かれていく。矛盾を見つけたら、その原因はだいたい専業で株式会社的に行っていることにあるから、専業ではない立場ならではの本質的に中身のあるサービスに提示していく。



 伊藤さんはナリワイに関する詳しい概要を語る前に、「無駄な支出をまずは減らす」ということを本書で強く主張しています(チャプター1つ分の長い文章に渡ってまで、それを説明しています)。

 ナリワイとは「ガッポガッポ儲けたい!」と言うガツガツした景気の良い働き方ではなく、あくまで「心身を健康にし、なおかつ精神的に豊かな生活を送る」ための働き方なので、惰性で浪費ばかりする生活では、ナリワイは成り立ちません。自分自身の浪費は、よくよく考えてみると無駄なものに散在していることが多いので、それらを減らすことでより豊かな生活を実現することに近づくことができるといいます。

 「無駄な支出を減らす」という考えは、橘玲さんや山田真哉さん、高村友也さん山崎寿人さんなど、多くの方々がすでに述べていますね。


 では、ナリワイとは具体的にどんなことをしているのか? 本書では写真がいくらか掲載されています。モンゴルの遊牧民の暮らしを体験する「モンゴル武者修行ツアー」、田舎暮らしを知りながら実践的なスキルも学べる「田舎で土窯パン屋を開く」、学生時代に京都に住んでいた伊藤さんが気軽に京都で泊まれるようにと設立した宿泊用の一戸建て「古今燕」など、ユニークな事業がさまざま。

 いずれのナリワイも会社などの堅苦しい組織に縛られず(頼らず)、仲間内で始めて、売り上げや顧客率などの成果にあくせくしない事業ばかりです。ナリワイでは、あくまで利用者と主催者が共同して事業に従事・参加するため、互いの立場は対等な感じ。事業も一般の民間企業がやるような「お客様」としての最高のもてなしはなく、あくまで互いに楽しくやる分、手頃な価格と巷の民間企業にはない独特の楽しさがあることから、けっこう人気だそうです。

 また、企画して参加者が0だったとしても、ナリワイのコストは微々たるものなので、民間企業のようにガムシャラに集客する必要はなく、主催者自身もすぐに企画を取りやめることが可能だとのこと。これなら巷のサラリーマンのように、苦にならなくてすむわけです!


 読み終えた感想ですが、とても面白かったです。ナリワイというライフスタイルはこれまでの思想本にはなかった斬新な考え方でした。ナリワイは巷で言う「副業」ではなく、「複業(仕事を複数持つ)」のライフスタイルなので、1つのことに縛られずにさまざな事業に触れることができて、とても魅力を感じました。具体的な事例も書かれているので、参考になりやすいです。

 ただ、ナリワイというライフスタイル自体かなりマイナーで、実践されている方も少ないので、自分に本当にできるのかどうかが気になるところ。伊藤さんの公式ホームページにて、ナリワイに参加できるかどうか調べたのですが、どれもそれなりの参加費用が必要なので、さすがに難しい。

 とはいえ、ナリワイというライフスタイルについて知ることができたのは、私にとって大きな成果でした。「自由」を目指した行き方や価値観にもとてもマッチしています。皆さんにもぜひオススメ。老若男女問わず、参考になる要素があると思います。


ナリワイ(公式サイト)


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