『ルポ 貧困大国アメリカ』

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)
(2008/01/22)
堤 未果

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 サポステに置いてあった本で、借りて読んでみました。


 本書はタイトル通り、アメリカ合衆国の貧困事情について赤裸々に書かれています。貧困といっても、単なる「金持ちと貧乏人」という構図を述べたものではなく、医療機関や教育、健康、就職などのアメリカにおける貧困層の悲痛な現実が書かれています。

 アメリカといえば、日本以上に格差が激しいことは有名。高額な医療費やホワイトカラーの仕事に就けずやむなく軍隊に入るなど、貧困層の生活はかなり苦しいです(アメリカの医療問題については、マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画『SiCKO(シッコ)』で知った方も多いはず)。

 特に悲惨なのは、ニューオーリンズで起きたハリケーン「カトリーナ」の被害に対する政府の対応。政府は被災地の復興がまだ終わってないにも関わらず、それを民間企業にまる投げ。まる投げされた民間企業は、貧困層の被災者が住んでいた土地を勝手に富裕層向けの土地として売り出す(!)という驚くべき所業をやってのけています。

 本書で一貫して述べられているアメリカの貧困事情は「極端な民営化のせいで、貧困化が進む」というもの。読んでいると、反資本主義・反民営化の意識が見受けられます。本書の最後の方では、大量消費社会を批判し、それに対する反対運動を行っている方の紹介もあります。


 読み終えた感想ですが、正直微妙でした。本書では極端な資本主義思想と民営化政策が貧困の問題として取り上げられていますが、この考えについて多少は共感できるものの、全面的に支持できません。

 日本の場合、政府による政策と活動が大して機能しておらず、それらが最終的にハコモノ行政や天下り団体などの無駄を生みだす要因となっています。だからこそ、日本では民営化などの市場原理の導入を通して「もっとうまく機能させろ!」という意見が多いのです。

 とはいえ、私も極端な資本主義思想に対して懸念しており、「市場原理が何もかも解決してくれる」とは思えません。ハリケーン「カトリーナ」や東日本大震災のような大災害は、民間(市場原理)によって修復できる作用の範囲を大きく超えており、とてもそれだけの力で対処できることではないからです。そうした問題には、さすがに政府(国家)による政策が必要になってきます(その解決策の1つとして、私はベーシックインカムを主張しています)。

 とりあえず、読んでおいて損はない本です。社会学や経済学など社会科学について興味ある方なら、読むことをオススメします。


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