親子の餓死事件を無駄にしないために、真のセーフティネットを構築すべき時!

 数日前に、大阪府に住んでいた親子が、餓死で発見された。

【<大阪母子死亡>「もっと食べさせたかった」母親のメモ発見】
 母子とみられる2人の遺体が見つかった大阪市北区天満のマンションの部屋から「子どもに、もっと良い物を食べさせてあげたかった」という趣旨のメモが残されていたことが、捜査関係者への取材で分かった。室内には食べ物がほとんど残っていなかったことなどから、大阪府警は餓死した可能性が高いとみて詳しい経緯を調べている。

 府警は、2人は部屋の住人の井上充代さん(28)と息子の瑠海(るい)ちゃん(3)とみて、身元の確認を進めている。メモは請求書のような紙の裏に残っており、充代さんが書いたとみられる。2人の遺体は今月24日に見つかった。
 <毎日新聞 5月27日(月)13時5分配信>



 私を含め、都会に住む人々は、なぜ彼らを救ってやれなかったのか? 悲しさのあまり、自分自身の無力さと愚かさを悔いてならない。この悲しさは、震災の年に起きてしまったワタミの女性従業員の自殺事件を思い出す。

 上記の事件の一方で、今月半ばに韓国人女性による生活保護の不正受給が発覚し、逮捕に至る事件があった。この女性は、クラブ経営によって1億円以上の莫大な収入が合ったにも関わらず、抵触者向けの公営住宅に住み、なおかつ生活保護の不正受給を働いていた。

【年商数千万円で生活保護受給 韓国人のクラブ経営者逮捕 警視庁】
 韓国人クラブを経営しながら生活保護を受給していたとして、警視庁組織犯罪対策1課は、詐欺容疑で、韓国籍の韓国人クラブ「パートナー」(東京都新宿区歌舞伎町)経営、許愛栄容疑者(54)=同区戸山=を逮捕した。同課によると、「病気で働けないと言ってだました」と、容疑を認めている。

 許容疑者は平成17年3月から生活保護を毎月14万円受給。同店は20年9月~25年4月、クレジットカードだけで1億2700万円を売り上げており、同課はその間の生活保護費840万円をだまし取っていたとみている。
<産経新聞 2013.5.19 11:28 >



 上記のような生活保護によるセーフティネットがうまく働いてない状況をみると、多くの人がこう叫ぶだろう。

 「生活保護が機能していないぞ! 行政は今まで何をやってきたんだ!」
 「不正受給をする輩がいるから、本当に困っている人に生活保護がいきわたらないんだ!」
 「不正受給を減らすためにも、受給資格のハードルを厳しくすべきだ!」

 このような声が出ることはよく分かる。しかし、こうした叫び声は、残念ながら問題解決には結びつかないのが現状だ。特に最後にある「受給資格のハードルを厳しくすべき」というのは、かえって逆効果である。

 2007年に北九州市で起きた「おにぎりが食べたい」というメモを残して、男性が餓死してしまった事件のように、行政による水際作戦(受給者を減らす為に窓口での申請時点で不当な追い払いをする)によって、本来受給が必要な人に届かなくなる可能性が大いにあるからだ。これは生活保護に関わらず、法規制を強化したり、物事のハードルを挙げたりすることは、かえって行政(それに従事する担当者)の負担を増やすことになり、運営維持でのコストがかえってかかってしまうのだ。


 こうした不正受給などの問題が起こるのは、そもそも生活保護自体に制度上(構造上)の問題があるからだ。たとえ不正受給者の撲滅に躍起になったところで、制度上の問題は解決されないのだから、不正受給者はいっこうに減らない。これは年金やその他の社会保障制度でも同じことだ。制度そのものを改善しなければ、問題は解決されない(以前こちらの記事でも、同じことを書いたので参照いただきたい)。


 では、私たちが今回のような生活保護など含めたセーフティネットについて、どのような解決案を出すべきなのか? 現実的に観るのか、多少大げさに観るのかによっても違うが、私なりに解決案をこの場で提示していきたい。

1.生活保護の受給資格のハードルを下げる。

 現実的な側面から考えたら、まずはこれが出てくるだろう。この案は、私が以前通っていた大学のゼミの先生が教えてくださったものだ。

 先生曰く、「社会的弱者は、社会変化の影響をまず最初に受けてしまうので、社会に大きな変革が起きた時に困惑してしまう。それを考慮して、まずは既存の社会保障である生活保護のハードルを下げて、社会的弱者の救済(格差社会への対応)をするべきである」とのこと。

 確かに大きく制度を変えるというのは、既得権との軋轢などいささか難しいところが老いので、既存の制度を徐々に変えていくというのは、もっとも現実的であろう。

2.ベーシックインカムの導入

 当ブログで何度か取り上げているベーシックインカム。生活保護や年金など、既存の社会保障の大半をカットし、不要な法規制や公共事業のカット、公務員数の大幅リストラなどを行い、それらに使われていた費用をすべてベーシックインカムに回す。

 1番に比べると導入には大がかりな問題がいくつかあるが、受給できなかったことによる餓死者の救済や、不正受給対策などに必要な審査・手続きの緩和が大いに期待できる。

 ベーシックインカムの説明そのものは当ブログでも何度か書いてきたので、省略で申し訳ないが、説明は以下の関連記事を参照してもらいたい。

ベーシックインカムに賛成!

それでもベーシックインカムに反対できない(1)

それでもベーシックインカムに反対できない(2)

それでもベーシックインカムに反対できない(3)

被災者救済も含めてベーシックインカムを導入すべき!

3.生活共同体(コミュニティ)による人的セーフティネット

 これは活動する個人や団体に大きく異なってしまうのだが、何かしらの生活共同体(コミュニティ)が形成されて、そこに各個人が望んだ団体に入って、お互いに助け合いながら生活できるのが狙いだ。三枝さんの「共育学舎」や勝山実さんの「ひきこもり村」のような感じに(もちろん入るかどうかは個人の自由)。

 金銭的・制度的な面のセーフティネットだけでなく、精神的な面でのセーフティネット(ここでは「人的セーフティネット」と呼ぶことにする)を構築して、お互いに生存安否の確認や生活状況の把握を間接的に行うことができれば完璧だ。

 また、共感できる思想や考え方を持った人々同士が集まれば、彼らの発想や活動によって何かしら物事が生まれる可能性も大いに期待できる(図画工作技術者による木工技術や、地産地消の資源を活用したワークショップなど)。

 ただ、こうした人的セーフティネットの構築はすぐにできるものではない。まずはすでに活動している団体や個人とコンタクトし、彼らの活動がどんなものか知る必要がある。


 以上が私なりに提示したセーフティネットについての解決案である。より具体的な詳細まで考えつかないでいるのが残念であるが、私の案(意見)から世の中のセーフティネット構築の必要性に対する考えが少しでも強まってくれれば幸いである。

 今回の事件は、自然災害ではない人間の死である。東日本大震災による被災者救済が整っていてない中、こうした事件が起きてしまったことは、誠に残念でならない。この事件を、今後のより良い社会構築に動きださなければならないことの戒めとして、私たちは強く受け止めるべきである


 最後に救えることができなかった親子の命、謹んでお悔やみ申し上げます。


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