「ギーク村」という構想

 以前こちらの記事で、「凡庸な人間でもやる気のない人間でも、そのなかに入ればそこそこ面白くなれるような仕組み」といった考え方や価値観に近い共同体の構想を話してくれた友人がいて、その構想の話を近々としたい、と書いた。

 今回はその共同体の構想について、いろいろ書いていく。


 この構想を友人から聞いたのは、1~2ヶ月ほど前。その友人は、共育学舎のことやニートのphaさんのこと、伊藤洋志さんのナリワイのことなどについて、興味を持ってくれていて、お互いにいろいろ語り合った。

 その際、友人が話してくれたのが「ギーク村」という構想だった。「ギーク」という名は、phaさんが運営している「ギークハウス」から来ている。「お互いに価値観や考え方が似ている人や共有する人同士が集まって、共同生活する」というもの。「ギークハウスの村(集落・共同体)版」といったところ。彼曰く、構想についてまだ詳しいことは決まってないらしく、まだまだ練っている段階のようだ(私自身も共育学舎を訪れて以来、上記のような共同体づくりについて、やってみたいという気持ちが芽生えている)。

 ところで、私がこの構想について強く興味を持ったところがある。それは「村内で経済を回す」という話だった。「経済を回す」といってもさまざまな解釈があるだろう。友人から詳しく聞かなかったが、ここでは単純に「お金のやり取りをする」ということだろう。

 単に生活するだけでなく、お互いにお金のやり取りもする。お金のやり取りというと、大概は村の外とのやり取りが思い浮かぶ。村人が村を出て出勤したり、村で生産・製作したものを村の外で売る。これはこれで、一つのお金のやり取りではあるだろう。村内でお金のやり取りができれば、生活の幅が拡がる。

 金銭的な収入というのは、生活するうえで、重要な要素であることは言うまでもない。労働が多様化し、従来の安定的な雇用を得ることが難しい昨今では、「嫌だけど、カネのために働く」というネガティブな認識は大きい。本当はベーシックインカムを導入して、劣悪・不要な労働を無くし、個人の自由を極大化できる(もしくは働きやすい環境)仕組みづくりを構築できればいいのだが、そこに踏み切れないのが現状だろう。

 もしギーク村で経済を回すことができれば、いくらかの収入も得られて、生活費を工面できる。納税や社会保障支払いの滞りの不安も解消できる(役所の人間からすれば、この言葉を聞いただけで小躍りするだろう)。


 「そんな構想、本当に実現できるの?」。今回の記事を読んで、そう思われた方もいるだろう。現時点で、この疑問に「確実にできる」とは残念ながら言いきれない。

 じゃあ、あきらめるしかないのだろうか? それはまだ早い。実は似たような構想を持ち、それを実現しようとする人はいるのだ。そのことについて少し紹介しよう。

 Bライフを実践している高村友也さんの著書『スモールハウス』に紹介されている、アメリカのジェイ・シェファーさんの「スモールハウスの住宅地」だ。

 この住宅地はスモールハウスが集まって小さなコミュニティを形成する。キッチンや洗濯機、トイレやシャワーなどは一箇所に設置して、住民同士でそれらを共有する。スモールハウス以外にも、簡単なシェルターやテントで生活する人々も受け入れるという。

シェファーのスモールハウス住宅地の構想イラスト
▲私が模写したスモールハウス住宅地の想像イラスト

 高村さんによると、アメリカは上記のようなコミュニティの形成は自由らしい。日本だと、こうしたコミュニティ形成をやろうとすると、近隣住民から「新興宗教やヒッピーなどの変な連中ではないか?」と疑われてしまうことが多い(小耳にはさんだことだが、NPO共育学舎の三枝さんも、共育学舎設立の際にこうした疑いを地元住民にかけられたことがあるという)。

 ギーク村とは形が違うかもしれないが、「お互いに価値観や考え方が似ている人や共有する人同士が集まって、共同生活する」という価値観や考えのもとで、人々が集いコミュニティが形成される点は同じである。


 上記のような共同体がより多くなれば、個人が自分なりに自由に暮らせる場所や、人的セーフティネットによる社会的弱者救済などを期待できる。共同体の構想や考えは、今後より一層社会において尊重されることになるだろう。


スポンサーサイト
コメント

ヒッピー

既存の社会の価値観から離れて生きる、というのは実践としては70年代のヒッピーに近いのかなと思います。それで40年経った今、日本のヒッピーはどうしてるかと言うと、素知らぬ顔でヒゲを剃って就職したりなんかしてるんですよね。でも中にはそのまま独自の村を作った人なんかもいて
http://matome.naver.jp/odai/2134875162234421601
みたいな場所もあるみたいです。とはいえHP見ると普段生活しているのは1家族だけみたいな感じですけど。もっと時間が離れれば、アメリカのアーミッシュみたいになるんでしょうか。
ただ、「ギーク村」ならプログラミングなんかでインターネットでその場にいながら外貨を稼げるので、それで化学反応が起これば面白いですよね。

Re: ヒッピー

>>ばなしーさん
こんばんは、コメントありがとうございます。

>でも中にはそのまま独自の村を作った人なんかもいて
なんと!
日本にもヒッピーのコミュニティがあるとは知らなかった。
ただ、仰る通り、(あちらの方には失礼ですが)規模は小さそう…。
日本はヒッピーを含めて、「~~村」と呼べるほどの大規模なコミュニティがこれまでなかった(社会的に許容されてこなかった)というのが、大きな要因でしょうね。
ヒッピー以外のことをやっても一過性の物事で終わってしまってしまうので、本格的にやれる人はなかなかいないのも残念なところ。

>「ギーク村」ならプログラミングなんかでインターネットでその場にいながら外貨を稼げるので、それで化学反応が起これば面白いですよね。
ITスキルは確かに(ネット環境とPCがあれば)場所を選ばないので、経済を回すためのツールになり得えそう。
アフィリエイトなどでちょろっと小銭が入るような仕組みもできあがれば、ITスキルをもつことの敷居が下げられますし、一石二鳥。
経済を回すためのツールは他にも、もっとあれば…。
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する