『百万円と苦虫女』

百万円と苦虫女 [DVD]百万円と苦虫女 [DVD]
(2009/01/30)
蒼井優、森山未來 他

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 私が以前書いた記事「一つの場所に留まることがいかに苦痛なことか」を読んで共感してくれた友人が、私に勧めてくれた映画。実家に帰ってきたのを機に、地元のツタヤで借りて早速観てみました。


 蒼井優さん演じる平凡な21歳のフリーター佐藤鈴子が、ひょんなことから実家を出て「百万円溜まったら、引越しする」という生活を繰り返し、その先々でさまざまなことに触れたり巻き込まれていくストーリー。タイトルの百万円は、ここからきています。

 本作で描かれている鈴子が百万円を貯めるための働き先は、ビーチ沿いの海の家、山村の桃農家、地方都のホームセンター。それぞれ従業員として働きながら、さまざまな仕事を彼女は経験していきます。

 海の家では店員として、かき氷や焼きトウモロコシなどの料理を作ったり、座席の準備。桃の農家では、人手が足りなくなる桃の収穫でそれのお手伝い。ホームセンターでは店員として、接客業に従事。

 いずれの仕事もうまくいって褒められたり、失敗して怒られたりする場面もあります。中にはそこで出会った男性が主人公に好意を寄せてくる恋愛の描写も描かれていました。「良い面もあれば悪い面もあり、良い出会いもあれば悪い出会いもある」といった彼女の人生の展開が繰り広げられます。


 観終えた感想ですが、素晴らしい映画でした。

 「ギスギスした陰鬱な展開を送る映画なのかな…?」と最初は思っていたのですが、そこまでネガティブな描写はありませんでした。むしろ鈴子をほめてくれたり、支えてくれたりする人々の温かさ・ありがたさを感じられる和やかな場面もいくつかありました。

 この映画を観ていると、北の大自然アラスカを目指して旅を続けていた青年クリストファー・マッカンドレスさん(以下:クリス)を思い出します(詳しくは映画『イントゥ・ザ・ワイルド』で)。彼も旅の途中で、どこかの誰かに働かせてもらって世話になっていました。クリスは北を目指して動いていましたが、鈴子は「とりあえず100万円貯まったら、引っ越す」という具合で、動く先はランダムのようです。

 さまざまな経験や事柄を受けつつも、百万円が溜まったらそそくさと引っ越す鈴子。彼女の生き方を観ていて、「モンゴルの遊牧民や本当のノマドライフって、こういう生き方を言うんだろうな…」と感じました。一つの場所に定住せず、ある程度時期が来たら、別の場所へ移動する。

 ちなみに、鈴子には小学生の弟がいるのですが、学校で陰湿ないじめを受けています(それも『ドラえもん』のジャイアンやスネオですら逃げ出してしまいそうなほどの)。起伏がありながらもさまざま人生経験をしている鈴子に対し、一つの場所でいじめなどの苦難に耐え忍んでいる弟の2極化した演出が印象的でした。旅に出る人の人生とその場に留まる人の人生。両者の良し悪しは分かりませんが、それぞれの道の違いをあまりにも上手く表現していて、観ていて衝撃を覚えました。

 今後の鈴子の展開が気になるところですが、エンディングを観た限りでは「百万円貯まったら、引越しする」という生活を繰り返すことになりそうです。その後の彼女の人生がどんなものか、続編か何かで描いてほしいですね(家族やこれまで出会った人たちへの再会など)。


 「各地を転々として生活するとはどういうものなか」「一定のお金貯めてから、何かするってどんなものなんだろう」と考えている方・気になっている方にオススメです。『イントゥ・ザ・ワイルド』と今作を、ぜひ合わせて観てもらいたい。


映画『百万円と苦虫女』公式サイト


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