地方の若者を吸いあげる街「東京」

 共育学舎で一緒に滞在していた方々から、とても驚く話を聴いた。それは、「地方の若者たちが職を求めて上京していく」という話だった。それだけではよくある地方の社会情勢の一つだが、驚いたのは大阪出身のNさん(仮名)の話だった。

 就職のことについてNさんと雑談していた際、「大阪の若い人たちは、やっぱり地元の大阪で就職するのがほとんどでしょ?」と、Nさんに聞いてみた。そしたら、Nさんの返事は違っていた。

 Nさん曰く、大阪でも地元の中小企業に就職する人は地元で就活するそうなのだが、大手企業での就職を目指す人は上京するとのことだ。大手企業となると、本社が東京にあることがほとんどなので、必然的に上京して就職を目指すことになる。大多数の人々が上京して就職を目指すそうなのだ。

 これを聴いた時、私はものすごく驚いた。大阪といえば、日本で2番目の大都市であり、西日本最大の大都市でもある。その大阪ですら、就職を目指す大多数の若者は東京に出て行ってしまうのだ。大阪のような大都市なら、地元の若者は上京せずとも地元で就職するのだと私は思っていたのだが、そうではないことに驚いてしまった。

 高知県出身のYさん(仮名)にも就職の話題で雑談した際、上京して就職する若者の話をいろいろ聴いた。

 Yさんの周りでも、就職を目指して上京する人がほとんどだと言う。それだけ地元の都道府県では雇用がないということだろう(どこの地方都市も同じ問題を抱えているが)。その際、高知から近い大阪ではなく、やはり東京へ就職しに行ってしまうのだという。Yさんの学生時代の地元の友達は上京してしまっているということで、地元で会う機会もほとんどないのだそうだ。

 私も以前通っていた大学や勤めていたIT企業で上京して来ている人はいたが、それほど周りに多いわけではなかった。共育学舎でそうした話をあらためて聴いて、「東京がいかに地方の若者を吸いあげているか」というのを身に染みて痛感した。

 地方の行政はそうした問題を対処すべく、若者の雇用を創出するための企業誘致などを行っているが、うまくいっていないのは周知のとおりである(ナリワイの伊藤洋志さんも指摘しているが、たとえ企業誘致に成功しても、不況などでその企業が撤退してしまったら、もとの問題に逆戻りである)。

 就職のための上京は必ずしも悪いことではないが、「地元で就職できる」という選択肢も当然あっていいではないか。こうした問題に対する解決案は巷ではいろいろ出ている。完璧な解決は難しいかもしれないが、選択肢を増やすという最低限の改善はできるのではないだろうか。


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