不正受給者の本当の問題(1)

 数日前にとある悲劇的なニュースが流れた。それが以下のニュースだ。

msn産経ニュース「児童手当を不正受給、両親を詐欺容疑で再逮捕」

 子供を持つ親が、己の子供が死亡してしまったのにも関わらず、生きていると虚偽の申告をして、児童手当を不正受給した事件だ。生活保護、障害者年金、児童手当などの社会保障を不正受給したことによる社会問題は後を絶たない。そうした中で起きてしまった、また一つの不正受給事件だ。

 私はこのニュースを聴いた時、血が滲み出そうなほどの拳ができるほどの激しい怒りを覚えた。それほどの怒りが出た一番の理由は、己の子供を犠牲にしても不正受給を働いた両親に対する下劣さだ。

 以前当ブログでも、不正受給者であるAのことを取り上げた。Aによる「問題を弱者に押し付ける無責任で身勝手な行動」と「弱者としての恩恵を受けながら強者のごとくふるまう下劣さ」。そうしたことから、私はAのような取るに足らない輩を「本当の社会の敵」だと主張した。

 だが、ここ最近は「(社会保障の)不正受給者≒本当の社会の敵」だという図式が、ぼんやりと頭の中で浮かんできている(あくまで「≒」なので、完璧な「=」ではないが)。前述のAといい、今回の事件の親といい、巷で報道される不正受給者による悪事の数々は、断固として許しがたい所業ばかりだからだ。

 今回のブログの記事は、そうした不正受給者の問題に対して取り上げている。しかし、タイトルには「本当の」という言葉がある。不正受給者の問題といっても、巷で言われている事柄ではなく、私が考えている事柄について取り上げている。私は以前から不正受給者の問題について、いろいろと思うところはあったが、それは意見で言われている物事とはいくらか違っていた。

 私が考える不正受給者の問題とは何か。巷言われている問題とどう違うのか。それらを詳しく書いていく。


 巷で言われている不正受給者の問題についてはいろいろあるだろうが、一番多いのは不正受給で金を得ていることだろう。「我々が汗水働いて納めた税金を、不正受給で得るとは何事か!」とお怒りになる方も多いだろう。確かにそれも一理ある。だが、私はこれについては不正受給者の本当の問題ではないと考えている。

 不正受給で金を得ていることはもちろん許しがたいことだが、これは不正受給者だけが問題なのではない。

 以前こちらの記事でも述べたが、不正受給という問題は「フリーライダー問題」である。制度にある穴(構造上の欠陥)を利用して、不正に利益を得る。これはどんなに制度の内容を高めても、フリーライダー問題はなくなることはない。

 フリーライダー問題は不正受給者そのものよりも、制度そのものを運営している政府側(運営側)の問題である。完璧に防ぐことは不可能だが、臨機応変に制度そのものの改善を心がけることでフリーライダー問題は可能な限り予防・改善できる。そうしたことをせず、一方的にフリーライダー問題を当事者だけの問題として片づけているのは、政府側の怠慢以外の何物でもない。

 不正受給者が金を得ていることが問題であるのならば、制度そのものにメスを入れて、不正受給者に金が行き渡らないようにすればいい。無論、完璧に防げるわけではないが、可能な限り制度の穴を埋められるのだから、大きな改善・予防効果が期待できる。制度そのものの改善を図ることが最善の方法なのである。

 話を元に戻すと、不正受給者による金を得ることの問題は、不正受給者の問題というよりかは、制度そのものの問題である。もちろん金を得ている不正受給者自身も問題ではあるが、制度の穴から発生してしまうことを考えると、不正受給者よりも制度の穴自体を改善すれば、おおむね問題は解決できるだろう。


 ここまでは不正受給者の問題というよりも、制度そのものの問題を書いた。では、肝心の不正受給者の問題とは何か? 次回、その詳細について書いていく。


つづく


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コメント

No title

言うのは簡単だけど、具体的にどうやって不正受給を防ぐのよ?w
生活保護不正受給の定番である偽装離婚なんて、形式が整ってたら防ぐのは現実的に不可能だよ。

Re: No title

>>みつをさん
コメントありがとうございます。

>言うのは簡単だけど、具体的にどうやって不正受給を防ぐのよ?w
>生活保護不正受給の定番である偽装離婚なんて、形式が整ってたら防ぐのは現実的に不可能だよ。
確かに「言うは易く行うは難し」というように、完全な防止は難しいでしょう。
ですが、今回の記事では完璧な防止策を述べることについて書いているのではありません。
私が今回の記事で言いたいことは「不正受給で金を得るのは、制度そのものの問題である」ということです。
どう問題を解決するかはかなり難しいでしょうし、この場で述べなくてもそうした物事に取り組んでいる方・具体的な解決案を述べている方はたくさんいます。
残念ながら私が現時点でできることは「問題の根本はここです」と指摘するくらいですが、具体的にどう対処するかは今後の社会情勢をいろいろ吟味したうえで述べていくほかありません。

No title

不正受給者は確かに増えています。しかしそれは社会保障利用者が増えていることに伴う数字の変化と私は捉えています。
例えば生活保護の不正受給の割合でみると、件数ベースで2%程度、金額ベースで 0.4%程度で毎年推移しており、大きな変化はありません。
>制度そのものにメスを入れて、不正受給者に金が行き渡らないようにすればいい。
>不正受給者よりも制度の穴自体を改善すれば、おおむね問題は解決できるだろう。
とありますが、私は賛同しかねます。何故なら不正受給者を取り締まるため、今以上の(生活保護・児童手当等を含む社会保障)制度の引き締め、受給できるか否かの判断の厳格化が進み、結果として本当にその制度を必要としている人たちの取りこぼしの増加を招きかねません。
穴がある、といえばそうですが法律や制度には穴や「ゆらぎ」がある程度存在するほうが健全であると思います。それらを私たちの実生活に適応する場合、がちがちに固められたものではひどく限定的なものとなってしまい、利用者の不利益、ひいては社会全体の不具合を引き起こすことになるでしょうから。

Re: No title

>>ぐすくまさん
コメントありがとうございます。

>不正受給者は確かに増えています。しかしそれは社会保障利用者が増えていることに伴う数字の変化と私は捉えています。
>例えば生活保護の不正受給の割合でみると、件数ベースで2%程度、金額ベースで 0.4%程度で毎年推移しており、大きな変化はありません。
不正受給問題はフリーライダー問題である以上、絶対に切り離せない問題であることは間違いありません。
不正受給の明確な統計が見つからなかったので正確なことは言えませんが、貴殿の仰る通り、不正受給自体はそれほど増加していないというのは一理あると思います。

>何故なら不正受給者を取り締まるため、今以上の(生活保護・児童手当等を含む社会保障)制度の引き締め、受給できるか否かの判断の厳格化が進み、結果として本当にその制度を必要としている人たちの取りこぼしの増加を招きかねません。
>穴がある、といえばそうですが法律や制度には穴や「ゆらぎ」がある程度存在するほうが健全であると思います。それらを私たちの実生活に適応する場合、がちがちに固められたものではひどく限定的なものとなってしまい、利用者の不利益、ひいては社会全体の不具合を引き起こすことになるでしょうから。
「制度そのものにメスを入れる」というと、受給のハードルを上げるという風に聞こえるかもしれませんが、私の言うそれとは違います。
私の言う「制度そのものにメスを入れる」というのは、制度の仕組みや構造を抜本的に変えること。
具体的に言い表すのは難しいのですが、至極単純な例えをするなら「生活保護という名前だけど、中身はベーシックインカムだった」という感覚です。
どう具体的に変えるかという問題はかなり難しいので、どうしてもハードルを上げることに終始してしまうのですが、私はハードルを上げるのではなく、先ほど述べたように中身を抜本的に変えることで制度を改善することを望んでいます。
私も貴殿と同じように、受給そのもののハードルを上げることによる改善処置は基本的に反対ですし、それだと国家権力の肥大化を招く可能性があるからです。

記事がまだ(1)の内容なので、皆さん「不正受給で金が行き渡ること」について焦点を当てていますが、今回の記事で言いたいことはそれではなく、不正受給者の本当の問題について述べていることです。
続編の記事をこの後投稿しているので、それを引き続き読んでくださるとありがたいです。
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