不正受給に関するコメントへの返答(1)

 以前「不正受給者の本当の問題(3)」という記事を投稿した際に、ぐすくまさんという方からコメントを頂いた。ぐすくまさんは不正受給問題に関して興味があるようで、別の記事でもそれに関するコメントを頂いている。

 今回のコメントでは私宛ての質問が添えられている。内容からしてコメント欄に書き切れないので、記事に投稿する形で返答を書いていく。まずはコメントの内容から。

 ベーシックインカム、この国で実現するのは難しいでしょう。あまりにも「働かざるもの、食うべからず」の不文律が幅を利かせていますから。
 民主党時代に施行された子ども手当に私は期待していました。対象を中学校修了までの児童のみに絞っているものの、これこそ収縮的・試験的BIともいえる画期的な試みだと思っていたのです。しかしそれですら「所得制限を設けないのか」「高所得者優遇制度だ」などの反発・アレルギー反応を起こす人たちが多くいたのを覚えています。そこでCHAGEAS-FANさんにいくつか質問があります。
 ベーシックインカム制度を導入した場合、在日韓国人や他国からの留学生・労働者の処遇をどう考えていますか? 私は子ども手当施行当初、役所に 手当を受け取りに行ったブラジル人家族の父親のVTRを冷ややかに見るニュースキャスターの顔が強く印象に残っています。本当に制度が実施された時、彼らに対する差別や混乱は激しいものとなるのではないでしょうか。
 またBIを導入したからといって不正受給が減るとは思えません。ブログの記事にあった、子供を持つ親が己の子供が死亡してしまったのにも関わらず、生きていると虚偽の申告をして児童手当を不正受給した事件や、最近よくある自分の親の死体を隠してその年金を貰い続ける中年の息子(娘)の事件などは 「児童手当」や「年金」などの社会保障の受け取る名目が「ベーシックインカム」という名前に変わっただけで、不正受給対策の抜本的解決には至らないのではないでしょうか?
 名目が変わってもケースワーカーや民生委員が生存の確認を取れない限り、同居者が「生きている」と言い張れば受給し続けられるのですから。さらに言うとBIの利点に行政コストの削減、社会保障制度を簡素化し運用コストを削減する、つまり社会保障運用にかかわる公務員を減らすことでBI実現への課題の一つである財源問題を解決することもできる(かもしれない)わけですが、そうすると今以上にケースワーカーが不足し、先にあげた例に対応できなくなり、結果として不正受給者は今以上に増えるのではないでしょうか?



 質問の内容を全体的に見ると、ベーシックインカム(以下:BI)に関する内容が多い。私自身BIを支持する以上、こうした質問については避けて通れないことは重々承知していたので、順次答えていく。

1.ベーシックインカム制度を導入した場合、在日韓国人や他国からの留学生・労働者の処遇をどう考えていますか?

 BIの受給者の範囲についての質問だが、私の場合、これは問答無用でNOであろう。日本に限らずどこの国でもそうだが、国家における社会保障というのはその国の国民のためのものである。外国人でもその国の人間として帰化すれば別だが、そうでない場合は当たり前だが対象外である。

 ぐすくまさんは「(BIの実施で)差別や混乱は激しいものとなるのではないでしょうか」とあるが、これは経済作家の橘玲さんも「鎖国になる」という同様の趣旨を述べていた。

 確かにそうした可能性もなくはないが、よくよく考えてみるとそこまでひどくなると、私は思えないのだ。というのも、元から日本は欧米諸国のような移民を大々的に受け入れる政策・社会体制をしてこなかった。BIを導入したとしても元から移民を受け入れる体制ができていないので、従来通り日本に外国人が来ても、状況は現在と変わらないのは明白である。

 それに、ブラジル人をはじめとした発展途上国の出稼ぎ労働者が日本に来ても、なかなか良い生活に恵まれないのは彼らのコミュニティができあがらないことが一因としてあるからだ。世界にある中華街やコリアンタウンといった外国人街では、そこに彼らの相互扶助・共存共栄で成り立つコミュニティが長い年月をかけてできている。そうしたコミュニティでは、外国へ来たばかりの移民に仕事や住む場所の紹介をしたり、移民に起きたトラブルを調停したり、移住先の現地住民との交流のサポートといった機能がある。

 アメリカのイタリア系マフィアの暗躍を描いた映画『ゴッドファーザー』でも、首領(ドン)であるヴィトー・コルネオーレがイタリア移民の依頼を受けて、イタリア系移民のコミュニティの関係を強めていく描写がある。社会保障制度がろくに充実していないアメリカで多くの諸外国の移民がそれなりに生活できているのは、コミュニティによる相互扶助・問題解決の関係が成されているからだ。

 先ほど述べた通り、こうしたコミュニティは長い年月をかけて形成されているので、ちょっとやそっとの年月や活動ですぐに築けるものではない。たとえBIを外国人に支給してもそうしたコミュニティが無い以上、トラブルの対処・調停もろくにできないばかりか、現地住民との交流もできず、住む場所の確保すらも難しくなる(加えて、日本独自の文化や風習に耐えきれないというのもあるだろう)。

 以前こちらの記事でも書いたが、たとえBIを得ても、上述のようなコミュニティの機能であるような精力的な活動ができなければ意味が無いのだ。現行の生活保護制度でも、金を得ているだけで精力的な活動が何もできずに肩身の狭い思いをしている人々がいるが、まさにこの状況がBIでも確実に起こるだろう。生活保護は受給の対価として法的にも社会的にも拘束されるものだったが、BIは不正受給に対する報復として、社会的に拘束されるだろう。そうなれば、不正受給者だろうと不法移民だろうと、最初は金を得ただけで喜んでいるだろうが、精力的な活動ができないことによるストレスから徐々に受給を辞めていき、最終的に自然淘汰されていくことになるだろう。


 かなりの長文になったので、別の質問に対する返答は次回の投稿で書かせていただく。


つづく


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