『五体不満足』

五体不満足五体不満足
(1998/10/16)
乙武 洋匡

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 「先天性四肢切断」という生まれながらの障害を持つ乙武洋匡さんが書いたベストセラーエッセー。本書は、彼がまだ早稲田大学に在学していた1998年に出版されました。

 本書は乙武さんがこれまで送ってきた人生について、いろいろ書きまとめたエッセー。生まれた時の両親の心境や、一般の学校で学生生活を送っていた日々のこと、受験などの進路で自分がどうしたいかを決めかねていた日々のこと、などなど。赤裸々に書かれています。

 個人的に本書で一番印象に残ったのは、障害を持つ乙武さんに対する周りの人々のフォローでした。乙武さんが障害持ちだからといって周りの人間がすべての世話をするのではなく、「乙武さんでも皆とできることは(できる範囲で)一緒にやる」「乙武さんでもできることを伸ばしてあげる」という創意工夫がなされていることです。

 障害を取り上げた話題になると、「障害者はかわいそうだ。なにからなにまで周りがやってあげないと」というような保護する目線の意見が多いですが、これだと障害者当人ができることまでやってしまったり、社会保障による過保護な手当てになってしまったりで、悪しき特権意識を生むことになってしまいます(その極めつけが不正受給です)。

 ですが、本書ではそうしたことを疑問視し、乙武さんが自分でもできることは自分でもやり、どこにでもいる普通の人々と同じように目の前の物事に取り組む真摯な姿勢が書かれています(「○○という社会保障で得した」という類の話は一切ありません)。なにより彼自身が「自分が障害者である」ということを、ほとんどこれまで意識してこなかったそうです。国家による過剰な社会保障制度なんてなくても、障害者自身とその周囲の理解と創意工夫次第で問題はいくらでも改善できるものなんだ、と実感しました。


 本書は社会保障や障害者福祉に関わる人なら、ぜひとも読んでおきたい。オススメです。


乙武洋匡オフィシャルサイト


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